ポイントは3つあります。
今のマイホームに妻が住み続けたい
売るのが一番スッキリ・サッパリとわかっていても、選んだマイホームを手放したくない方や、お子さまの学校の都合、借入済みの住宅ローンでマイナスになってしまうので、売却する選択もできなくて、妻(と子ども)がそのまま住み続けるにはどうしたらいいのでしょうか。
1.夫名義の住宅ローンを妻が引き受けてマイホームの名義変更をする
離婚の際、住宅ローンが残っているマンションなどのマイホームを夫が妻に渡し、その代わりとして、夫名義の住宅ローンを妻が債務引受をすることがあります。
銀行が「そうなの!じゃーよろしく~」ってOKを出してくれたらできます。
実際は、こんなに簡単にいきませんが、妻が債務引受をするには、住宅ローンを貸して暮れている銀行からOKをもらう必要があります。
東京などにお住まいですと、マンションや戸建ての住宅も高いですから、住宅ローンも高額になる傾向です。
その分、東京にお勤めの場合は、女性でも、正社員の方は、給料が高い傾向にありますから、銀行に相談すればOKをもらえる場合もあります。
債務引受には「免責的債務引受」と「重畳的債務引受」の2種類があります。
「免責的債務引受」は、夫が住宅ローンの債務者(借りている人)だった場合、「債務が同一性」を保ちつつ夫から妻に移転し、夫が債権債務関係から退場することです。
「債務の同一性」とは、「弁済期限、担保、利率、その他」みんな同じ=返す人だけ、夫→妻で、後は今まで通りってことです。
住宅ローン債務は夫から妻へ完全に移転して、マイホームの名義も妻へ変更。
夫は、退場して、完全にさようなら!で、夫も妻もスッキリ・サッパリですね。
しかし、 銀行などは、「重畳的債務引受」を求めてくることもあります。「重畳的債務引受」とは、債務を引き受ける側(例えば妻)が、当初の債務者(例えば夫)と連帯して同等の債務を負担するというものです。
銀行などは、夫と妻どちらに対しても返済を請求することができるようになり、この方法での債務引受は銀行にとって非常に有利です。
そのため、「免責的債務引受」はNGだけど「重畳的債務引受」ならOK!というケースも存在します。
離婚後に元夫と連帯して返すなら、状況は、現在とあまり変わらないような気がするかもしれません。
完全にスッキリ・サッパリとはいきませんが、銀行さえOKなら、マンションなどマイホームの名義は、夫から妻に変えることができます。
名義が変わっていれば、夫が勝手に売却することができなくなります。(後からご説明します)。
また、「元夫が住宅ローンを支払っているのか?それとも滞納しているのか?連絡が付かないので、現在の状況がわからない。」という状況はさけることができます。
なお、どちらの債務引受でも銀行から、「離婚協議書」の提出を求められることが多いです。
「離婚協議書」の提出のタイミングは、銀行によって異なりますが「2.仮審査の前」か「3.本審査の前」です。
2.仮審査
3.本審査
4.債務引受、併せて名義変更
最善な方法は、方針を決めてから銀行に相談することです。私は、離婚協議書・公正証書の作成だけではなく、不動産業の経験も豊富ですので、住宅ローンの銀行への対応や借換えについてのご相談についても承ることが可能です。
ぜひ、銀行にご相談する「前」にご相談くださいますようお願い致します。
2.住宅ローン・マイホームが夫名義のまま妻(と子ども)が住み続ける
財産分与として妻がマイホームを取得するが、住宅ローンの関係でマイホーム名義を夫とのままとして、妻と子どもが、住み続けて、妻が住宅ローンを払い続けながら住んでいたとします。
このケースは、さまざまなリスクがあります。
夫によるマイホームの無断売却
もし、マイホームの名義が夫の単独所有ならば、夫の無断売却が最大のリスクです。
なぜなら、夫がマイホームの単独名義人なので、妻の承諾もなく勝手に売却することが可能だからです。
例えば、夫と妻の共有(持分がそれぞれ2分の1)とします。その場合、夫がマイホーム「全体」を売却するには、妻の同意が必要です。夫ひとりでは、勝手に売ることができません。
ただし、夫の「持分2分の1」ダケは、夫が勝手にを売却することができます。
そのリスクは残りますが、買う人が少なく、売値はものすごく安いので、単独所有とくらべると、リスクは小さいです。
別の視点で考えると、共有物件は、あなたがマイホーム全体を売りたいときも夫の同意が必要ですので、問題が大きいのですが、その問題点は、別の機会に書きます。
単独所有の場合は、ローンを完済したら、妻名義にするという約束をしている場合が多いですが、あと少しで妻の名義に変えるという直前で、無断売却されたら、大変なことです。
離婚公正証書にする際は、「無断で売却されたらどうするのか?」などさまざまなケースを検討して、文言等を工夫し、原案を作成致します。
また、無断で売却できなくなるために「仮登記」をつける方法もあります。
「仮登記」というのは、通常の登記で必要な要件が揃わない場合、登記を予約するような形で設定するものです。
離婚公正証書に仮登記の取り決めを記載して、併せて、仮登記の申請をします。
なお、仮登記申請につきましては、司法書士の業務となりますので、その際は、別途、司法書士をご紹介致します。
住宅ローンについて、銀行との契約違反となる
住宅ローンとは、債務者(例えは夫)が所有して住むための戸建てやマンションにについて貸し出されたローンです。
そのため、離婚によって住宅ローンの債務者(例えば夫)がマイホームを出るという状況なると、当初、住宅ローンを契約した条件とは変わってしましますから「銀行との契約違反」になります。
そのため、まれに、住宅ローンの残債務を一括請求(残金を全部一括ではらってね!と請求されること)をされることもあります。
また、妻が連帯保証人でなかった場合に、銀行から、新たに妻が連帯保証人になるように求められる場合もあります。
連帯保証人になりたくなかったら断ることもできます。でも、実質的には断れないような状況においこまれてしまうことがありますので、注意してください。。
夫が住宅ローンを滞納する
妻と子どもが住む続ける場合は、誰が実質的にローンを負担するか夫と妻で取り決めをします。
1.妻と子どもが住み続けるマイホームの住宅ローンを夫が払い続けることを約束するケース
2.妻と子どもが住み続けるマイホームの住宅ローンを妻が支払うことを約束して、毎月、夫の引落し口座に振り込む。
しかし、住宅ローンはあくまでも銀行などから借り入れたものですから、おふたりだけの約束は、銀行には関係ありません。
夫が住宅ローンを滞納すると、最悪の場合はにマイホームをを失ってしまいます。
もし、「お子さまの学校のご都合で売却できない」とうことであれば、売却しても決まった年数だけ、住み続けることが可能な契約方法もあります。
3.妻が連帯保証人だったらどうなるのか
妻が住宅ローンの連帯保証人となっているのケースではどうなるのでしょうか?
夫が住宅ローンの支払いを滞納すると、夫宛てに銀行からの封書が頻繁に来るようになります。
注意していれば、なんとなくわかるのですが、大量のダイレクトメールに紛れて気づかないこともあります。
妻が連帯保証人だった場合には、すぐ、妻に請求が来る場合もあれば、支払い金額が大きくなってから請求が来る場合もあります。
ローンの支払いができず、銀行との話し合いも上手くいかなかった場合、最終的に競売となります。
もし、マンションの売値が安く残債(ローンの残り)があった場合は、マイホームを失った上に、残債の支払い義務も残ります。
注意支払いが滞っている場合、遅延損害金等(通常は年14%強)がかさみ、債務額は想定している金額よりかなり多くなりがちです。
あなたが、そのまま住む続けるなら、離婚公正証書にしてから債務引受をすればスッキリ・サッパリできます。
もし、「お子さまの学校のご都合で売却できない」とうことであれば、売却しても決まった年数だけ、住み続けることが可能な契約方法もあります。
事情により、名義を夫のままにして、住む続ける選択をする場合は、銀行にご相談する「前」に、より安心な方法を選択するために専門家へご相談することをおすすめ致します。
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