口約束や単なる離婚協議書で済ませてしまったら、離婚後にひとりで手続きできなくて、後悔することになります。
年金分割は、なぜ離婚公正証書にする必要があるのか?東京港区の行政書士が、やさしく、くわしく、ご説明致します。
ポイントは5つです。
1.年金分割ってどうしてできたの
男女の賃金の格差や雇用の機会の格差って、まだ、残ってますよね。
ご夫婦おふたりが、長いの結婚生活の末に離婚することになったとき、離婚後の夫と妻の年金受給額に大きな差ができてしまいます。
特に、年を取ってから離婚した場合、「女性の年金受給額が低くなってしまう」という問題に対応するためです。
2.年金分割の制度
離婚した場合に、おふたりの婚姻期間中(結婚期間中)の厚生年金等を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度です。
「合意分割制度」と「3号分割制度」があります。
合意分割制度
「合意分割制度」とは、夫婦が合意して行う年金分割制度です。2007年4月からスタートしました。
合意分割制度を利用する場合の年金の分割割合(正式には、按分割合といいます)は、0.5(0.5って見るとすこなそうですが50%のことです)を上限として、おふたりで自由に決めることができます。
ご夫婦おふたりの年金を足して2で割るイメージです。(あくまで婚姻期間中です)
離婚公正証書に記載する場合は、「離婚による年金分割のための情報通知書」(長い‥)が必要です
もっとくわしく!「離婚による年金分割のための情報通知書」について
話し合いで決めることができずに、おふたりで決めることができない場合は、家庭裁判所に申立てをして、年金分割することができます。
家庭裁判所の審判などで決まられる場合、家庭裁判所の基本的な運用は50%なため、ほとんどの事例で按分割合は上限の50%になります。
なお、平成28年度の厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」によりますと、平成28年度になされた合意分割の按分割合の定めは、裁判所外での交渉も含めて、約94%の夫婦が、按分割合を50%としています。
平成24年度から平成28年まで、多少の違いはありますが、按分割合を50%と定めた方が、95%前後となっています。
ほとんどの方が上限である50%で合意していますので、ぜひ、ご参考になってください。
3号分割制度
「3号分割制度」は、(強制分割制度ともいいます)主に専業主婦だった方に配慮した年金分割制度で、相手方の合意がなくとも、ひとりで分割請求できます。
分割割合は0.5(50%)ですが、2008年4月以降の分のみですので、2008年4月以前の分については、「合意分割制度」を利用することになります。
3.離婚後の年金分割には期限があります!ものすごく重要です!
年金分割する際は、年金事務所で手続きをします。
なお、年金分割請求の期限は、原則として、離婚した日の翌日から2年以内です。
とっても重要なことですので、これだけはおぼえてください。
年金事務所で手続き後に、相手方(例えば夫)が亡くなった場合は影響はありません。
4.どうして離婚公正証書にする必要があるの
離婚による年金分割の手続きを年金事務所で行うのは、「離婚後」になります。(離婚前は年金分割請求はできません)。
そのため、離婚前に前もって手続きしておくことができません。
2008年4月以降分の3号分割(専業主婦の方など)の場合は、強制分割のため、あなたおひとりで手続き可能です。
では、3号分割の対象である「第3号被保険者」とはどのような方のことでしょうか。
第3号被保険者とは、やさしくいうと、会社員や公務員などで、会社や役所などで、給料をもらっている人(例えば夫)に扶養されている配偶者(例えば妻)のことをいいます。
扶養から外れないように、パートタイマーで働く時間を調整するのは、第3号被保険者から外れないようにするためなことが多いです。
そのため、2008年4月以降にご結婚された専業主婦の方が2008年5月以降に離婚される場合で、養育費や財産分与・慰謝料等がない場合は、離婚公正証書をつくる必要性がほぼないと思います。
しかし、婚姻期間中ずっと、専業主婦や扶養内のパートタイマーなどでなかった方は、2008年4月以降も合意分割になりますので、離婚後に、おふたり(または、おふたりそれぞれの代理人が)そろって年金事務所に出向かなければなりません。
2.元夫と元妻の代理人で年金事務所へ行く
3.元妻と元夫の代理人で年金事務所へ行く
4.元夫の代理人と元妻の代理人が年金事務所へ行く
4パターンがあります。
なお、代理人が手続きをする場合でも、年金事務所へ行けない本人(元夫)が書いた委任状や、(元夫)本人の印鑑証明書の提出等が求められます。
5.離婚公正証書になら、あなたおひとりで手続き可能です
離婚後に他人となった元夫とあれこれやり取りをして、書類をそろえてもらい、予定を合わせて手続きするのは、本当に面倒です。
また、元夫からすれば、自分に何のメリットもない手続きですから、どうしても対応が遅れがちになったり、連絡がつかなくなることもあります。
しかし、離婚公正証書を作成していれば、元夫の協力も必要がなく、あなたおひとりで手続きできます。
「離婚後」の戸籍謄本等の必要書類と離婚公正証書の抄本を年金事務所に持参して手続きします。
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