ポイントは6つあります。
離婚公正証書のシステムとメリット・デメリット
こんな簡単にはいきませんが、こんなお互いの約束、決めたことを離婚の際、離婚公正証書にします。
1.離婚公正証書のシステムとは
離婚公正証書とは、全国にある公証役場で公証人が作成する公的な合意書です。
公証人とは、元裁判官・元検察官など長年法律実務の仕事をしていた人で法務大臣から任命された人です。
公証人は、準公務員的な位置づけとなります。
公証役場とは、全国で約300か所あり、法務大臣から任命された公証人が執務する公的な事務所です。
どの公証役場もひとり以上の公証人が在籍していて、公証役場によっては、複数の公証人が在籍しています。
公証人は、お夫婦など当事者の依頼によって公正証書を作成します。
沢山のご夫婦が、離婚の際の約をで離婚公正証書にしてもらってから協議離婚をされています。
原則としてご夫婦おふたりで、公証役場へ出向き作成します。
2.離婚公正証書のメリットとは
なぜ、沢山のご夫婦が、離婚の際の約束を離婚公正証書を利用しているのでしょうか?
「高い証明力がある」「強制執行(差押え)ができる」「偽装や盗難の心配がない」「心理的効果」の4つの理由があるからです。
(1)高い証明力がある
離婚公正証書は、法務大臣が任命し、法律の専門家である公証人が、記載内容についてて、法令に違反する記載がないかを確認して作成される公文書(公務員が作成した文書のこと)です。
また、ご夫婦おふたりが、本当にご本人かどうかを印鑑証明書などで確認をし、作成しているので、高い証明力があります。
公正中立な第三者である公証人がその権限に基づいて作成した離婚公正証書は、当事者であるおふたりの意思に基づいて作成されたものと考えられます。
もし、相手方が「いやいや、そんなのは知らない」などと言って、それをひっくり返そうとするなら、相手方が自分で証明しなければならないのですが、それはなかなか難しいです。
(2)裁判をしなくても強制執行(差押え)できる
慰謝料や財産分与、また、養育費を継続的に支払ってもらうために、離婚公正証書にすることを選択なさる方は多いです。
養育費の支払い率については、厚生労働省が、5年に1回「全国ひとり親世帯等調査」をいうものを行っています。
5年ごとの調査ですので、平成30年4月29日の時点の、最新の調査は、平成28年度です。
そのの調査によると、離婚による母子家庭における養育費の受給率は26.1パーセントです。
ものすごい低い数字ですよね。
しかし、その前の平成23年の調査では、2割程度でしたので、これでも養育費の支払い率は上がっているのです。
夫など支払う側の方も最初はキチンと支払うつもりで約束されるんだと思います。
しかし、長い支払い期間中には、さまざまな状況の変化や心境の変化がおきて、結果として支払われなくなります。
離婚協議書は、金銭等の支払いに関して、支払う側が、離婚公正証書作成時に強制執行(預貯金や給料を差し押さえること)されることを認める場合には、裁判なしで強制執行が可能というところです。
この認めることを強制執行認諾といいます。
つまり、離婚公正証書だから全部強制執行できるわけではなく、強制執行するには、強制執行認諾条項付きの離婚公正証書であることが必要なのです。
ちなみに、私が金銭の支払いに関する離婚公正証書の原案を作成する際は、100%強制執行認諾条項を付けます。
強制執行認諾条項のない公正証書は、実効性に疑問があるため、公正証書にする必要性がいちじるしく低下します。
離婚公正証書にしなかった場合は、不払い→ 金銭の支払いを求めて裁判を起こす→ 裁判に勝つ→ やっと強制執行
離婚公正証書にした場合は、不払い→ スグ強制執行が可能です。
強制執行認諾条項付きの「離婚公正証書」(長いですね…)なら金銭の支払いがされなくなった場合、裁判をせずに強制執行が可能です。
(3)偽造・盗難の心配がない
離婚公正証書は、原本・正本・謄本の3種類が作成され、公証役場に原本が20年保管され、原則として、公証役場から外への持ち出しが禁じられています。そのため、紛失・偽装・盗難などの心配が少なく安全性が高いのです。
正本→ 強制執行をする可能性のある原本の写し(コピー)です。そのため、金銭の支払いを受ける側に交付されます。
謄本→ 強制執行をする可能性のない写しです。原本の写し(コピー)です。そのため、金銭の支払いをする側に交付されます。
なお、上記のの他に「抄本」も交付される場合があります。抄本は、原本の「一部」の写し(コピー)です。主に年金分割用に交付されます。
(4)心理的な効果
公証役場にふたりで出向き、公証人の面前で離婚公正証書に署名して印鑑を押すという一連の手続きをすることによって、夫など支払う側の方に「約束を守らなければいけないな」という心理的な効果が生まれます。
また、公証人より、支払わないと差押えされるなどの説明を受け一連の手続きを行いますので、「支払わなければ、強制執行されるかも」と考えますから、より「約束を守らなければいけないな」という心理的な効果が生まれます。
差押えができるからとといっても、払いたくない人から無理やり取りのは、できればさけたいと思います。
自主的に支払ってもらうのが一番ですので、この心理的効果は、とても大きいものです。
3.離婚公正証書のデメリット
(1)公証人の手数料がかかる
離婚公正証書にするには、公証人の手数料がかかります。
手数料は、全国共通で、記載する財産の金額によって異なります。
公証人手数料
財産価格(時価) | 通常手数料 |
100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 17,000円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 | 23,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 | 29,000円 |
5,000万を超え1億円以下 | 43,000円 |
1億円を超え3億円以下 | ※1下記記載 |
3億円を超え10億以下 | ※2下記記載 |
※1)43,000円に5,000万円までごとに13,000円を加算
※2)95,000円に5,000万円までごとに11,000円を加算
公証人費用は、公証人の手数料+用紙代の合算です。用紙代は、1枚につき250円が追加されます。
(2)圧倒的に不利な内容の場合
離婚公正証書は、正式には、「離婚給付等契約公正証書」といいます。
やさしくいうと、離婚に際しての約束を形にした契約書ということです。
離婚公正証書は高い証明力があります。そのため、自分にとってものすごく不利な内容でも、一旦、離婚公正証書にしたら、原則として約束を守らなければなりません。
よくわからないけれど、離婚公正証書にするとイイらしいということで、何の検討もせずに、作成するのは、大変険です。
あなたに圧倒的に不利な離婚公正証書なら作らない方がマシということになります。
4.離婚公正証書を作成するタイミングはいつがイイの?
離婚公正証書を作成するタイムミングはいつがいいのでしょう。
結論から言いますと、作成するのは、「離婚する前」つまり、「離婚届提出前」をおすすめします。
離婚後でも離婚公正証書を作成することはできますし、さまざまな事情から、離婚を優先することもあるかと思います。
しかし、離婚後におふたりの約束を離婚公正証書にしようとしても相手方に拒否されてり、連絡が取れなくなったりすることも少なくありません。
そうなると後悔することになります。
離婚の際、金銭を受け取る側は、「養育費・財産分与・慰謝料などの支払いは、ふたりで約束した金額がキチンと支払われるか」と不安に思い、
金銭を支払う側は、「養育費・財産分与・慰謝料など、ふたりで約束した金額以上の金銭を理由なく要求がされないか」と不安に思います。
そうした「離婚前」における不安を少しでも解消するのも離婚公正証書です。
そして、実際に「離婚後」にもし、争いがあったとき、「離婚公正証書」にしておいてよかった!と思えるときです。
5.本人が行かないとだめなの?
事情があって当事者本人が公証役場へ行けない場合は、代理人での手続きが可能です。
弊事務所でもご本人さまよりご依頼を頂いた場合、私が代理人となって作成しております。
ただし、ごく少数ですが、離婚公正証書については、代理人での作成を認めないという公証人もいらっしゃいますので、専門家を通さずご自身で手続きなさる場合は、事前に行く予定の公証役場へご確認ください。
私も、なるべくならご本人が公証役場へ行くことをおすすめします。
なせ、本人が出向いた方がよいのでしょうか?
公証役場にふたりで出向き、公証人の面前で離婚公正証書に署名して、印鑑を押すという一連の手続きをすることによって、心理的なけじめもつきますし、互いに「約束を守らなければいけない」という心理的な効果が生まれます。
なお、ひとりの代理人がおふたりの代理人となることはできませんので、ご夫婦ともに公証役場へ出向きたくない場合は、代理人が二人必要になります。
6.なぜ、専門家に相談してサポートを依頼した方がいいの?
なぜ、専門家に相談して、離婚公正証書の原案の作成やサポートを依頼する必要があるのでしょうか?
公証人が、お夫婦など当事者の依頼によって公正証書を作成するのであれば、特に専門家へ離婚公正証書の原案の作成を依頼する必要がないような気がします。
離婚公正証書は、当事者が直接公証役場へ出向いていき、作成することができます。
離婚することは決まっているが、条件が決まっていない場合や細かい条件が決まっていないという状態では、公証役場に離婚公正証書の作成を申しこむことはでないのです。
公証人は、当事者から依頼された内容について、法令に違反する項目がないかなどを確認して離婚公正証書を作成します。
つまり、おふたりが、話し合って決めた条件などを公証人に伝えて、公証人が離婚公正証書を作成します。
そのため、内容が具体的に定まっていない場合は、「ご夫婦でよく話し合ってからいらしてください」といわれてしまします。
公証役場は、おふたりで話し合って、決まったことを離婚公正証書にしてくれるのであって、おふたりの話し合いを仲介する場所ではありません。
弊事務所にも「離婚条件は決まっています」というご夫婦からご依頼がございますが、細かい点をお聞きすると、いろいろ決めなければいけない部分がたくさんでてきます。
また、おふたりで記載内容を決めていく中で、わからないことや、不安に感じることなど、いちいち立ち止まって悩んでいると、ドンドン時間がかかってしまい、なかなか離婚までたどり着けなくなります。
離婚公正証書を初めて作成される方が大半ですから、わからないこと、疑問に感じることが出てくるのは当然のことです。
そのため、専門家に相談して、サポートを受ければ、わからないことに悩んで、いちいち立ち止まることもなく、回り道をすることもなく、安心した状態で離婚公正証書の作成が完了するため、専門家のサポートが必要ということです。
弊事務所のフルサポート
弊事務所では、離婚公正証書の原案を作成すること、サポートを承っております。
弊事務所の離婚公正証書の作成プランでは、すべてのプランに公証役場との調整まですべてを行なうフルサポートが付いています。
1.養育費・財産分与・慰謝料などの離婚条件について、また、離婚公正証書に関することについて何回でも相談することができ、離婚公正証書の原案について何回でも修正できます。
2.各サポートプランには、1か月間・3カ月間・1年間のフルサポートがついます。 ご依頼から離婚公正証書の原案の作成、離婚条件のご質問などのご相談対応、公証役場との予約調整など、離婚公正証書作成と、最後まで安心して、条件面のお話合いをすすめることができます。
3.弊事務所では、平成17年から10年以上にわたって、たくさんの離婚公正証書の原案を作成してまいりました。実際に作成することにより、さまざまなケースも対応しており、経験を積み重ねております。その経験をご活用頂き、安心してお任せ頂けます。
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